居抜きオフィスとして退去する際の「最低限の原状回復」の実践ポイント

居抜きオフィスとして退去する際の「最低限の原状回復」の実践ポイント

「居抜き物件」は、前テナントの内装や設備を引き継いで入居できるため、入居コストの削減短納期でのオープンが期待できるオフィス形態です。

退去する前テナント側も、借りた時の状態に戻す完全な原状回復をしなくてよいメリットもあります。ただ、ビルオーナーや次に入居するテナントとの話し合い次第では、最低限の原状回復が必要になるケースもあります。

本コラムでは、次のテナントが居抜きで借りたいという当社事例をもとに、部分的な原状回復のチェックポイントを解説します。


CASE STUDY — 小規模解体で済ませた原状回復

1 | 社名ロゴサインの撤去

今回のように浮かしビスを使用したステンレス等の切り文字サインは、取り外すとビス穴が残ります。
今回はエントランス壁面を再塗装せずに、同色充填材で補修 ➝ 微調色で目立たなくする方法を採用しました。

作業前:サインが壁面から浮いた設置
作業後:サインを撤去し、ビス穴跡を充填しフラットに整えた壁面

2 | 作り置き棚上部クロス撤去 & モニター壁金具跡補修

今回の前テナントは会議室にモニターを設置していましたので、こちらも部分補修で綺麗にしました。

 

作業前:アクセントクロスとビス穴が残った状態
作業後:クロス張り替えとパテ処理で傷跡を解消

3 | 内装ガラス窓の木枠に貼付した布地絵画の撤去

こちらは前テナントさんにとっては大事な絵画でしたが、次テナントは不要とのこと。こちらはこのスペースを利用して次テナントが使いやすような多目的のアクリル板を設置しました。

作業前:意匠目的で張った布地
作業後:木枠の質感を戻し塗装面も復旧、絵画だったスペースは多目的に使える汎用性のあるものに

4 | ブラインドは“残置”判断

全窓に取り付けたタテ型ブラインドは状態が非常に良好だったため、ビル側と協議の上で残置資産として了承を得ました。これにより撤去費もゼロ、後継テナントにとっては採光調整がしやすいという付加価値が生まれました。


居抜き物件として貸し出す時に、スムーズに進める 3 つのポイント

  • 特殊造作は撤去して“汎用化”する

    オリジナル什器やニッチな設備は敬遠されがち。標準仕様に戻すことで入居候補の裾野が一気に広がります。

  • 撤去・原状回復費用は“前テナント持ち”で明確化

    造作を残す・残さないの交渉が長期化しないよう、負担区分を契約書に事前明記。金額感もお互いに共有しておくとスムーズです。

  • 解約予告より前に“居抜き退去”をオーナーへ早期共有

    入居募集条件の設計・PR期間を十分に確保でき、オーナー側も募集賃料や残置希望を判断しやすくなります。

居抜きオフィスを活用するメリット

入居時:既存内装を活かすことで、初期費用を30〜70 %圧縮できるケースも。
退去時:工事規模が限定的になり、工期短縮 ➝ 原状回復費も抑制できる可能性が高い。

 

居抜き物件への入居時の一部改装から、退去時の原状回復工事まで
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