今ドキのオフィスや会議室には、ウォーターサーバーがあるところも数多くあります。中には冷蔵庫をそのまま置いて、好きな飲み物を取れるようにしている会社も存在します。「お茶出しと言えばOLの仕事」というのは過去のことで、打ち合わせをする当事者が飲み物を用意したり、中にはセルフサービス式のところもあったりします。年々フランクになるお茶出し事情ですが、そういった時代だからこそ改めてお茶出しについて考えてみてはいかがでしょうか。
会社におけるお茶出しには、単なる水分補給や気分転換取った以上の意味があります。お茶を出すことで「我が社はお客様を歓迎しています」という会社の態度を示しているのです。確かに、最近ではペットボトルでお茶や水を出してくれる会社も多いですが、茶碗(ちゃわん)と茶托(ちゃたく)のセットでお茶を出されたりすると「おお~!なんかしっかりした会社だな!」と行った印象を受けたりもします。また、疲れた身体をお茶の成分で癒やしてもらおうという、疲労回復の意味も込められています。
打ち合わせ等の場合のお茶には気分転換以外にも、お茶に含まれるカフェインで脳を活性化させる狙いもあるとされています。そのため水しか出さない会社よりも、しっかりとお茶を出す会社の方が、打ち合わせに真剣でお客様をもてなそうとする意思があるとアピールできます。
お客様にお茶も出さない会社は、せっかく来たお客様を歓迎してないのでは?と勘ぐられてもしかたありません。逆に言えば、丁寧にお茶を出して応接することで会社の印象をアップすることも可能です。この記事では、少しでも会社に好印象を持ってもらえるように、お茶出しに関する作法や知識をご紹介します。
■お茶出しの手順
お茶出しの作法
①お茶を淹れたらお盆にお茶を並べ、お盆の空いたスペースには茶托を重ねて置いてください。
②お盆を持って会議室まで行ったらノックをしてドアを開け、中にいる人に「失礼します」とお辞儀をしてください。
※この時、既に商談が始まっていたら、邪魔にならないように目礼しても構いません。
③お盆の上で茶托にお茶を乗せ、そのお茶をお客様にお出しします。
※サイドテーブルがあれば、お盆をサイドテーブルに置いて、お茶を茶托に乗せて運んでも構いません。
④お茶を出す時は、お客様の右後方からお茶を出します。
※湯呑みに絵柄があれば、絵がお客様を向くようにしましょう。
※お客様の右後方に回れない場合は「左から失礼いたします」「前から失礼いたします」と一言添えましょう。
※お茶は両手で出すのが丁寧な形ですが、両手が使えない場合は「片手で失礼いたします」と言ってお茶を置いてください。
※テーブル一面に書類などが広がっていて、お茶を置くスペースがない場合もあります。そういった時は、自社の最も下座の社員に「お茶をお持ちいたしましたが、お出ししてもよろしいですか?」とひと声かけてみましょう。この時、打ち合わせの邪魔にならないように小声で行います。声をかけられた社員の人がお茶を置くスペースを作ってくれたり、別のテーブルに置くように指示してくれたりするでしょう。
⑤お茶を出し終わったら、静かにドアまで行き、目礼して去ります。打ち合わせの邪魔にならないことが大切なので、静かに行ってください。
お茶を出す順番
①お客様にお茶をお出ししてから、自社の人間にお茶を出します。
※自社で最も役職が高い人間がいたとしても、お客様が優先です。
②お客様が複数いらっしゃるときは、お客様の中で最も役職が高い人から順にお茶を出していき、お客様全員に行き渡ってから自社の人間に配ります。
※役職が高い人は上座に座るので、上座にいらっしゃるお客様が先となります。
■打ち合わせが長引いているときの対応
打ち合わせが長くなった場合、お茶を飲み終えたり飲み終えていなくても温(ぬるく)くなったりします。こういった場合、お客様の方から新しいお茶を飲みたいとは言い出しにくいものです。そこで、最初のお茶出しから1~2時間を目安にして、新しいお茶を出しに行きましょう。できれば、2品目は最初のお茶と違うものにすると良いでしょう。最初の飲み物がお茶の場合は、2品目はコーヒーなどに変えると会社としての気遣いが感じられます。
新しい飲み物をお持ちする際には、最初の飲み物を下げてから次の飲み物をお出ししましょう。机の上がコップや湯呑みで乱雑になって打ち合わせに支障が出てはいけません。
■まとめ
効率化や省力化の名の下に、冷蔵庫からペットボトルを出しコップに移してそのまま渡すようなお茶出しが当たり前になってしまった昨今。しっかりと作法に則ったお茶出しをする会社は少なくなりました。しかし、お茶出しをしっかり会社の方がしてくれた方がかえって差別化ができ、お客様の印象に残りやすくなります。
お客様は、わざわざ会社まで来てくれた大切な取引相手です。好印象を持たれるのに越したことはありません。お茶出し1つで会社自体に好印象を持たれるのであれば、これほど効率の良いことはありません。たかがお茶出しとバカにしないで、自社におけるお客様のおもてなし方を今一度見直してみてはいかがでしょうか。
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