オフィスの設備で欠かせないものとして、照明・消防設備・セキュリティなどありますが、空調設備も当然とても重要になってきますよね!
寒い・暑いでは仕事の生産性が落ちてしまいますので、空調設計を良く考えたオフィスレイアウトが必須になってきます。
今回はエアコンの基本的な知識について記載しますので、社内レイアウトをご検討される際の参考にして頂ければと思います。
パッケージエアコンとは
パッケージエアコンとは、主に中小規模施設で業務用に用いられるエアコンで、
室外機と室内機が1対1の関係の物を指します。
家庭用のルームエアコンよりも冷暖房能力が高く、用途に合わせて様々たタイプが選択可能です。
室内機と室外機について
家庭用でも業務用でもエアコンには必ず室内機の他に室外機があります。
家のエアコンは室内機で取っている電源を室外機に供給していますが、業務用の場合はその逆で室外機を動力電源(200V)に繋ぎ、室内機に対して電源の供給を行っています。
また家庭用ですと、大概室外機1基に対して室内機も1基ですが、業務用の場合はマルチエアコンといって室外機1基に対して容量内で複数の室内機の接続が可能です。
例えば日立製の商品ですと、以下の様な容量計算方法を用い接続を行います。
室外機 RAS-AP140DG4 ×1台
・140は14.0kwを表します
・つまり14.0kw以内に収まる容量での室内機が接続可能となります
(例)
室内機 RPK-AP22K2 ×6台 →2.2kwの室内機ですので ×6台で13.2kwとなり、14.0kwの室外機容量に収まります。
(上級編) 室外機の容量を超えた場合
では14.0kwを超えてしまったら、どうなるのでしょうか?
実は室外機容量の130%までは接続が可能とメーカもオフィシャルに案内しています。
つまり14.0kwの場合 ×130%で18.2kwまでの接続が可能です。
ただ室内機の同時稼動が100%を超えると超えた%分の効きが弱くなりますので、注意が必要です(110%の稼動なら90%の効きになってしまう)。
パッケージエアコンの馬力と容量目安
業務用エアコンは何馬力という単位で表されることが多いのですが、
以下参考にして頂ければおおよその目安がお分かり頂けると思います。
冷房能力 | 馬力 | ㎡ | 坪数 | |
4.0kw | 1.5馬力 | 23~35 | 7~11 | |
4.5kw | 1.8馬力 | 25~38 | 8~12 | |
5.0kw | 2馬力 | 27~42 | 9~13 | |
5.6kw | 2.3馬力 | 29~46 | 10~15 | |
6.3kw | 2.5馬力 | 35~53 | 11~17 | |
8.0kw | 3馬力 | 46~70 | 15~23 | |
11.2kw | 4馬力 | 55~94 | 18~31 | |
14.0kw | 5馬力 | 70~106 | 23~35 | |
16.0kw | 6馬力 | 90~138 | 29~46 | |
22.4kw | 8馬力 | 112~188 | 37~62 | |
28.0kw | 10馬力 | 140~212 | 47~70 | |
56.0kw | 20馬力 | 280~425 | 93~141 |
配管について
エアコンの配管は、冷媒ガス管とドレン管の2種類になります。
冷媒ガス管
→冷媒ガスを室内機まで運び管のことで、室内機は冷媒ガスを気化させて冷風を送ります。
また室外機からの室内機までの冷媒ガス管の配管距離はメーカによって異なり、20~50m程度までと様々なので、導入時には綿密なルート確認が必要です。
ドレン管
→空気中の水分が室内機表面に結露として凝結するので、これを機外に排出する為の管となります。
またドレンには排水が流れますので、角度(勾配)が必要になります。
よって基本的には室内機から見て低い位置に配管の出口がないといけません。
配管の出口までの距離が遠かったり、建物の構造上で一旦上に引き上げなければならない様なケースでは、ドレンアップと呼ばれる圧力により排水を引き揚げる様なポンプを使用する必要も出てきます。
ちなみに冷媒ガスは気体なので、冷媒ガス管に勾配は不要です。
ただ気体の容積は液体に比べて小さいので、容積を稼ぐ為に配管はある程度の太さを必要とします。またエアコン交換の際などは、冷媒ガスを全て抜いてから交換作業を行うこととなります。
エアコンの種類
天井カセット型
→基本型は4方向送風タイプとなり、四方から風出る為に温度ムラができにくいというメリットがあります。細長い空間に効果的な2方向タイプなどもあります。
天井裏にある程度の高さとスペースが必要ですので、設置の際は要現場調査となります。
天井吊型
→遠くまで風を送ることができるので、細長い空間に有効です。
天カセ型に比べ天井に大きな穴を開けなくても設置できるというメリットがあります。
デメリットとしてはエアコンの真下や両サイドに風が届きにくい、といったことが挙げられます。
壁掛型
→取り付けが簡単で設置工事費が安いことが最大のメリットですが、広い事務所ですと馬力的に対応ができません。
いかがでしたか?
いざレイアウト変更をしてみたら、空調の効きが弱かった! はたまたエアコンなしの部屋になってしまった! なんてことが万が一にも起こらない様、入居工事やレイアウト替えの際は、ぜひ弊社の営業担当までご連絡下さい。
本コラムでは色々と難しいことも記載しましたが、懇切丁寧にどこよりも分かりやすくご案内させて頂きます!
一級建築士 / 1級建築施工管理技士 / 宅地建物取引士 / 認定ファシリティーマネジャー
千葉大学工学部を中退後、2001年に24歳で株式会社アロワーズを創業。「働く環境こそが生産性向上の唯一の手段」という信念のもと、23年間にわたりオフィスの設計・デザイン・施工をワンストップで手掛ける内装工事業を行っている。