新耐震?旧耐震?
オフィスビルを検索すると、築年数や広さと合わせて、必ずと言っていいほど耐震基準が記載されています。
マグニチュード7クラスの首都直下型の地震が今後30年間に起こる確率が70%、というような話もある中では、社員の大切な命を守るためにも、今や耐震性能はオフィスビル選びの際にも外すことのできないチェック項目です。
耐震性能に対するニーズが高まるに連れ、旧耐震基準のビルに入居中の方にとっては、このまま旧耐震のビルに入居を続けていて大丈夫なのか…、急に建て替えのための立ち退きを迫られるのではないか…、など、心配は尽きません。
旧耐震ビルのこれから
旧耐震ビルは今後どのように扱われていくことが予想されるのか、簡単にご紹介します。
そもそも旧耐震基準と新耐震基準とは、どのくらい違うの?
おおまかに、
旧耐震基準 … 震度5程度の地震に耐えられる建物
新耐震基準 … 震度6強から7程度の地震でも倒れない建物
となっています。
ただし、「新耐震基準であれば震度6の地震で絶対に倒れない!」という訳ではありませんし、「震度5の地震がくると旧耐震基準の建物は必ず倒壊してしまう」という訳でもありません。実際に2016年の熊本地震の際にも、新耐震基準を満たしていた建物が、いくつも倒壊しています。また、旧耐震基準の建物でも、倒壊を免れたビルもあります。
どのような建物が地震に強いのか、ということは日々研究されており、今も耐震基準や設計は見直されています。
建て替え?立ち退き?耐震補強工事?
今入居しているビルが旧耐震の場合、建て替えのために立ち退きの憂き目に会うことがあっては大変です。
今のところ、旧耐震基準のビルを新耐震基準のビルへと建て替えなくてはいけない義務はありません。また、外装工事のみで耐震補強を行う工事もありますので、旧耐震基準のビルだからと言っていずれ立ち退かなくてはいけなくなる訳ではありません。
一方で、耐震性能に対するニーズや、行政の耐震化に対するサポートや圧力が今後も高まっていくことは間違いありません。
ビルオーナーが費用を負担できずに建て替えや耐震化を見送っているケースなどでは、相対的にビルの価値が下がり、オーナーがビルを手放すということがあるかもしれません。
耐震化は国策
建築物の耐震化は日本を挙げての国策となっており、政府は2020年までに住宅の耐震化率を95%に、東京都は2025年までに全ての建築物の耐震化率を100%にすることを目標にしています。
その目標を達成するために、国や自治体は耐震化工事や建て替えに補助金を出しており、また、建て替えを促すような政策も次々と打ち出しています。
最近では、東京都が旧耐震基準の分譲マンションの建て替えを推進するため、より戸数の多いマンションを立てられるよう、基準を緩和しています。
オフィスビルに関しても、今後耐震化工事や建て替えが促進されるような政策ができていくことは間違いありません。
今旧耐震基準のビルに入居しており、今後も耐震化工事を行う見込みのない場合には、そう遠くない未来に新耐震基準のビルへの移転が必要になるでしょう。
いつまでに新耐震基準のビルに移転するのか、大切な社員の命を守るためにも、長期的な視野で計画を立てることが必要です。
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