今回のレイアウト講座のテーマは「オフィスのセキュリティ対策」です。
セキュリティといっても様々な種類がございますが、なかでも今回は入退室をするドアへのセキュリティ対策(電気錠の設置)について、レイアウトの観点からご説明いたします。
早速ですが参考物件の図面をご覧ください。
建物中央の共用部を取り囲む形で、専用部が3方向に分かれています。
元々はいくつかの区画に区切り、複数テナントの利用が可能な物件となっているため
専有部へのドアが6ヶ所もあります。
ですが、今回のお客様はワンフロアぶち抜きで使用いたします。
全体の専有部面積は約540㎡となります。
▼レイアウトの要項
・社員約60名
・会議室(4~5室)、社長室、サーバールーム、簡易的な救護室
・会議室は眺望の良い南側に配置したい
・商品を扱う会社なので収納はできるだけ多く欲しい
以上です。
まずは各スペースの間仕切りプランを練っていきます。
会議室のエリアが限定されるので執務エリアは2方向に分かれることになりますが、
こちらは運用面で問題無しとのことで一安心。
そしてもう一つの懸念は専有部へのドアが逆に多すぎてしまう点。
(必要な場所にドアが無くて困るパターンはよくありますが、、、)
セキュリティの観点からも不要なドアは減らしたかったため、お客様と相談した結果、
「不要なドアを敢えて使用しない⇒塞いでしまおう」という結論に至りました。
最終的に完成したレイアウトがコチラ。
3方向のドアをそれぞれ1ヶ所ずつ塞いでいるのがお分かりいただけるかと思います。
もちろん共用部のドアなので実際に取り外したり解体したりなどはしておりません。
このアイディアにより3つのメリットが生まれました。
① 社内動線がすっきりする。
② 壁面の収納スペースが増える。
③ セキュリティ端末の工事費用が削減できる。
とりわけ今回のテーマである、③のセキュリティ対策面でのメリットは非常に大きいものかと思います。
ただし注意点として、適切な避難経路の確保が為されていることが条件となりますので、
行政管轄への確認は必須となります。
(今回のケースでは避難経路図を作成し、塞ぐドアの誘導灯を取り外すことで建築基準法上の許可がおりました。)
以上となります。
多種多様な物件がございますが、お客様のニーズに合わせたご提案をさせていただきますので、レイアウトのご相談からでもお気軽にお問い合わせください。
一級建築士 / 1級建築施工管理技士 / 宅地建物取引士 / 認定ファシリティーマネジャー
千葉大学工学部を中退後、2001年に24歳で株式会社アロワーズを創業。「働く環境こそが生産性向上の唯一の手段」という信念のもと、23年間にわたりオフィスの設計・デザイン・施工をワンストップで手掛ける内装工事業を行っている。